mirayume

さら、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。 あなたは身ごもって女の子を産むが、その子をアリスと名付けなさい。

5月31日

この日のことはうまく書けません。

夜の二時に起きて驚いた。疲れ果ててパックをしたまま裸で寝ていたのです。もう一度髪を濡らして、オイルを塗って丁寧に乾かす。今日は、とても大事な日なのに。

朝七時に起きてお祈りをする。約束の時間は十二時半なのになにもやることがない。その間、部屋を片付けたり、お皿を洗ったり、トイレと洗面所を掃除したり、鏡を磨いたりする。

外出前に香水をふったら、手首に滲みた。
駅前で赤い薔薇を一本買っていって、電車でいづみさんと待ち合わせる。

二人で茅ヶ崎で降りて、そこからバスに乗ってお墓に行った。
ほかはしんとしているのに、異様に明るい区画。
不在であるのに愛されすぎている。生前好きだった缶コーヒーが五本、おしゃれなビールが一本。溢れるほどの仏花には黄色い百合まで混じっている。そしてわたしからの薔薇。ずるい。死んでもう八年経つのに。これじゃあ生前ちょっと才能のあった若者みたいじゃないですか。実際そうだったのだけど。

帰り道、新宿で降りてNEWoManのビュリーで香水を買った。箱に名前を刻印してもらう。金色の流れるような文字、きれい。これだけで買ってよかった。

家に帰って死のうと思った。同居人にバレないように薬を飲んだ。グレープフルーツのお酒で、何錠もまとめて。睡眠薬抗不安薬では意味がないことがわかっている。抗てんかん薬を中心に七十錠くらい飲んだら、お酒がなくなってしまった。疲れてしまってそのまま眠る。


気づいたら大声で叫んでいたらしく、救急車で運ばれる。ICUで鼻から胃まで管を通して活性炭を流され、尿道カテーテルを入れられる。なぜか額が裂けていたらしく手当をしてもらった。一晩入院して翌日の夜に帰った。結局死ねなかった。