3月31日
お墓に行くと、人がいた。
親族の方だろうかと思って身構えていると、一つ次の列のお墓の手入れをしに来た方だった。わたしがお花の水を変えて帰ってきたとき、挨拶をしてくれた。
「いつもきれいにされていますね、見習わせていただきたいです」というようなものだった。
しどろもどろに、ここはわたし以外の方も来てくださるのできれいなのです、と答えた。その方は笑顔を消して、何か悪いことを言ったのではないか、というような空気が漂った。
まずいことをした、と思った。
でも、ほんとうのことなのだ、わたしは月命日の31日だけにここに来るだけで、お花が少しも萎びていないのは、血縁の方が手入れをしてくださっているからなのだ。わたしなどが褒められるべきではなかったのだ。